利府町市民活動研究会 活動報告

再利用すれば良いという単純な問題ではなかった…/利府町市民活動研究会

今回の市民活動研究会テーマはケース検討会Ⅱ「廃材活用と市民活動」でした。

宮城県利府町内外の市民活動の活動者が集まって交流や研鑽を行い「市民のチカラ」を温める市民活動研究会。11月28日(火)の対面回は利府町文化交流センター(リフノス)にて実施しました。

今回の「はじめまして」

この日の「はじめまして」は1名いらっしゃいました。

佐々木響さん。今年度途中から利府町の地域おこし協力隊を担っています。利府町のイベントを増やそうと日々奮闘されています。





今回のテーマは石井さんによる持ち込みのケース検討会


今回の利府町市民活動研究会は、一般社団法人タンコーカナリ代表理事、石井宏之さんによるケースの持ち込みでした。

最初に石井さんの主とする活動「利府トレイルプロジェクト」に触れ、自然と向き合うこと、環境(自然環境/人間環境)を考えること、そして環境配慮のために、本来廃棄されそうなものに対しもう一花咲かせることはできないかとう問いが投げかけられました。

石井宏之さん(一般社団法人タンコーカナリ)。利府トレイルのプロジェクトオーナーとして、また他のトレイルも経験し数多くの自然に触れてきました。




みんなで考えた「◯◯を捨てずに活用すること」。


廃材や資源の活用として石井さんは家庭やカフェ等で使われたコーヒー豆かすの活用法を例に上げました。実際には堆肥や脱臭剤、そして染料にも使われることがあるらしいです。
その他、みんなでのディスカッションにバトンが渡ったときにはたくさんのアイディアや実践例が列挙されました。

  • おさがり交換会(ゆるっとナチュラル育児の会さんにて実践)
  • 使い終わったプラスチックカップを工作に活用(マチトリンクさんにて実践)
  • 木廃材を使ったモルック(りふくるさんにて実践)
    • ほか、DIY好きとの親和性が良い。
    • こどもがものづくりに自由に活用し、創造性をかき立てる一助となり、男性の育児参加や世代間交流にもつながる。
  • ジャムの瓶やR-1ヨーグルトの容器は再利用のニーズが高い
  • 刈安染を使ったアップサイクル活動を

などなど。




しかしながら、議論の中で表れたのは廃材活用の利点ばかりではなく、リスクや課題にも焦点が当たりました。

  • 運搬や処理のコストやエネルギーをかえって浪費するのでは…
  • プラスチックカップを工作に活用した後、ゴミがまたゴミになる問題もある。
  • おさがり交換会の中でも不人気なアイテムはあり、保管に苦慮することもある。
    • ウェスとして生まれ変わらせることもある。
  • 廃材は安全性を担保できるのか(特にこどもの手に触れる場合)
  • しらかし台工業団地は産業廃棄物処理に困るケースも
    • 廃材を排出したい側と資源として提供・支援してもらいたい側のマッチング機能があると良い。
      • それが市民活動の中間支援機能であると尚良い。




そして、「そもそも廃棄することを前提にものをつくらない」という根本的な意見もありました。

  • ミツロウラップや布おむつの活用。
  • 学校給食での残食削減のためにおいしい給食を提供し、食事時間をしっかり確保する
    • 残渣や生ゴミに関しては昔の人や小さな集落の人ほど堆肥等コンパクトに廃材活用しているよね、という意見も。


そして、この日は環境配慮や廃材活用がテーマだったため、SDGsについても議論が及びました。この日参加した面々では、SDGsという言葉が昨今その本質を欠き、イメージアップやイベント集客の広告塔、キラーワードという使われ方が目立つので、みんなで本質的な捉え方を見直さなきゃいけないという総意になりました。
そして、SDGsが訴求する17の国際社会課題は、すべてが独立してるのではなくつながっているものである情報提供もありました。
(例:「平和」がなければ「質の高い教育」も提供できず、「飢餓」も「貧困」もなくならない。など)


そして「すべてが独立してるのではなくつながっている」説は国際問題から、地域課題にも縮図として同じことが言い得るという意見もありました。
(例:「移住政策」はそのまちに誰かが引っ越してきたら支援終了ではない。その人に将来こどもが生まれた時の子育て支援や治安の問題、生活インフラの問題等々すべてに繋がってくる)


また、SDGsという新語が生まれるずっと昔からその課題解決に向けて汗水を流した活動者の軌跡も忘れてはなりません。




廃材活用、環境配慮、生活の知恵、SDGs…この日は時間に限りがありましたが、まだまだ語れそうでした。


利府町市民活動研究会とは?

リフ超学校では2021年より利府町市民活動研究会の発足・事務局団体を担っています。利府町でも目覚ましいことに、近年は10〜30代等若い世代で組織される市民活動団体が徐々に増えてきています。台頭してきた活動者たちが個々に動き、運営難から活動を諦めせざるを得ない状況(地域活性化や市民協働社会の停滞にもつながる)を予防するため、団体同士がネットワーク化することを決め、また他セクター(行政・企業など)と対等に話し合えるテーブル(真の協働社会)を目指すためこの利府町市民活動研究会を立ち上げました。この利府町市民活動研究会では1〜2ヶ月毎の対面ワークと常態するオンラインコミュニティの二層構造でうごいています。月ごとの対面ワークでは各団体に共通する課題に対し、合同研修やケース会議を行い、常態化したオンラインコミュニティは市民活動に役立つ情報の発信、各団体が持つ資源共有の連絡相談、団体/個人間の親睦に役立てられています。また2023年度からはこの地域に触れるあらゆる主体に通ずる「協働」というものの一定の共通認識をつくる運動も始めています。